みなさん、こんにちは。
yoshi3です。
今回は、賃貸住宅で有名な「レオパレス21」の建物で建築基準法違反が
発覚し、約15000棟を調べたところ、200棟余りがその対象になったと
いう件を取り上げたいと思います。
これはレオパレス21のオーナー2人からの指摘で発覚したとのことで、
今後「37,853棟を調査する」としているようです。
「界壁」工事の違反とはいったいどんな違反なの?
yoshi3、実は建築業界の人間でして、しかも今回の様な事を最初に
考えながら仕事をする「設計士」さんなんですよ。へへ。
で、今回のこの「界壁(かいへき)」工事なんですが、昨日今日に
賃貸屋さんを始めた業者さんが見落としていたならいざ知らず、
(それでも設計上は絶対にあり得ませんが・・・)
これまで散々全国でお仕事されているレオパレス21さんが
こんな初歩的な違反をするとは、怠慢というか、なんと言うか。
まず、「界壁(かいへき)」についてですが、建築基準法で「長屋」
と規定される建物に関して適用される法律で、主に火災発生時に
隣の部屋へ簡単に火の手が移らない様に、部屋の天井を突き抜けて、
屋根を構成する骨組みまで防火性能のある素材で壁を作らなければ
ならない。
という法律で、お隣との壁が天井で終わっていると、天井裏で部屋が
つながっている事になり、火災時にその空間を火の手が回る事を防止
する役割があります。
各メディアで「界壁が天井に達していない」と発表されていますが、
「小屋裏に達していない」というのが建築基準法上では正確な表現です。
天井には達していると思いますし、そこが問題ならもっと早くに
入居者からクレームになりますよね。
天井に届いてない壁って・・・もうちょっと表現考えようぜ!
15000棟のうち200棟余りで施工不良が確認されたとの事ですが、
割合からすれば恐らく、「知らずに」その様な工事を進めてしまった
という風に感じるのですが、組織的に「界壁はいらない」としていれば、
恐らくこんな棟数では済まなかったと思います。
例えば、図面には当たり前の様にその記載がされていたとしても、
現場監督が新人でその認識が無く、大工さんもたまたま応援の方が
工事を進め、運悪く誰も気づかないまま工事が進んでしまった。
という事は考えられなくも無い訳ですが、実際レオパレス21だけの
手落ちとは言い難い部分もあります。
ここが問題!建築基準法違反はどの様にして行われるのか?
界壁の認識が甘かったレオパレス21を擁護する訳ではありませんが、
正直そのまま建ってしまったのは、行政の「検査」の体制や仕方にも
問題があると思います。
現在、建築物の許可申請や許可された建物の検査に関しては
「民間企業」に委託され、民間の企業が更に検査員を雇い、
又は自社の社員が検査し、所轄行政庁へ報告書を提出する。
という仕組みになっています。
書類上の審査に関しては、記載ミスや記述漏れ、誤記等の指摘と訂正にて
審査は通ります。
当然ですが、書類としては完璧な状態に仕上げるという事ですね。
で、それが実際の建物に形を変えていくにつれて、法律上や構造上の
重要なタイミングで検査を義務付けられておりますが、別のタイミング
でしか出来ない事や、そもそも検査員がその認識を持ってポイントとなる
部分の検査を確実に行っているか?が問題な訳です。
今回の「界壁」に至っては、完了検査の際にどこからか天井裏を
点検できる点検口があれば、そこから確認する事は可能ですので、
その時点で指摘があればレオパレスさんも是正されるわけです。
なので、今回オーナーさんの指摘で発覚した = 検査は通っていた。
という事が考えられ、「検査員は見ていなかった」又は「見て見ぬふり
をした」のどちらかが濃厚になります。
可能性としては、検査で指摘を受けたが放置していた。
そもそも検査自体を受けていなかった。という事も考えられますが、
行政の委託先民間企業は「報告義務」があるため、追跡調査をします。
なので、放置は考えにくい事から「見ていない」か「見逃した」
のどちらかでしょう。
実は、こちらの問題の方が大きな問題ではないかという事に
どれだけの人が気付いているか?ここが本当の問題です。
私も昔は、どこに逃げ道があるのか・・・と。
今はみんな仲良く、きちんと法律を守って健全に仕事をしましょう!
という考えの下に日々精進しております。
その時は一時的に逃れたとしても、どこかで誰かが必ず見てます。
悪い事は出来ない様になってます。そんなもんです。
レオパレス21はオーナーさんから集団訴訟をされていた?
実は2017年の年末にテレビ番組で「一括借り上げ問題」で取り上げられ、
オーナーさん29名による集団訴訟を起こされていることが分かりました。
「30年一括借り上げ保証」という謳いで、入居者が居なくても
会社が家賃を支払ってくれるので、安定した家賃収入が得られる。
としてオーナーに契約をしてもらうが、実際は早いものでは10年も
たたないうちに約束の家賃を減額したり、契約解除を強制的に迫っていた
ことが発覚したというものです。
当然、家賃の減収や借り上げ契約の解除になれば、建設費などの
負債を抱えたオーナーは支払いが困難になり、悪くすれば破綻
してしまう事もあります。
元々それなりの入居率が見込める地域での賃貸経営で、きちんとした
資金計画があれば、借り上げ契約を切られたとしても、それほど大きな
ダメージには至らないかも知れませんが、全く見込みのない地域でも
賃貸オーナーになってしまうのは「30年一括借り上げ」のセールストーク
を鵜呑みにしてしまう、予測が立てられない素人を狙った「詐欺」
に近い行為であると思います。
前記の集団訴訟に関しては、アパートオーナー29名が修繕契約の無効と
支払った修繕費、約1億4700万円の返還請求で訴訟を起こした
というもので、一括借り上げとは別に修繕契約に基づき各オーナーから
月々10万円ほどの金額を修繕費と称して賃料から徴収されていたが、
実際は修繕が行われていない事から起こった問題です。
更に、レオパレスさんはそれ以外にも沢山の訴訟問題がおありで、
レオパレスオーナー会(LPオーナー会)会長のお話では、
レオパレスオーナーは全国で1万人超えるらしく、その皆さんが
今後各地で訴訟を起こされる可能性がある。という事です。
おー怖い!!
最後に
賃貸住宅は形や仕様が決まっている物がほとんどで、
建築現場は一旦覚えてしまえば、毎回ほぼ流れ作業的に
工事が進んでしまいます。
それがために、たまたま忙しくなった際に人手の確保のため
経験の無い職人さんや、入ったばかりの新人さんに全て任せて
しまう事もあるかも知れませんが、基本的には行政の検査を受ける前に
「自主検査」が行われていれば、今回の問題も早期是正で
何ら問題なく事なきを得ていたはずです。
ほんの少しの油断が、企業のイメージを大きく損なう事に
つながってしまい、何の罪もないオーナーさんが入居者離れで
苦しむことの無い様に祈ります。