みなさん、こんにちは。
yoshi3です。
今回は、重度のアトピー性皮膚炎で大変苦しんでおられる傍ら、
同じ様な苦しみを持つ方々のために、自ら起業しアトピーの研究や
対策をされている、野村千代さんをクローズアップしてみたいと思います。
アトピー性皮膚炎の本当の怖さとは。
野村千代さんのお話では、大学生の時に重度化し体を動かすだけで
激痛が走るので一日中ベッドで寝ている。
衣服は皮膚への負担軽減のため常に大きめのパジャマ。
炎症した部分からにじみ出る「しんしゅつ液」という液体が付着し、
独特のにおいが漂う。
そして、かゆみに耐えられずバリバリと掻くと、皮膚は傷がつき
いたる所で出血とかさぶたが見られる。
そんな状態になるのだそうです。想像できますか?
彼女曰く、皮膚はドロドロでゾンビみたいな状態で「生き地獄」
とまで言わせてしまう程のひどさです。
なんでこんな状態で生きなきゃいけないんだ・・・どれだけ自分は不幸なんだ。と
本当に強くそんな風に思っていたそうです。
私もそんな風になるなどとは、初めて知ったのですが、
人よりきつめの乾燥肌で、それが原因でかゆみが出る病気?
くらいの認識しかありませんでした。
ちょっと動くだけで激痛が走るほどの事になるなんて。驚きました。
NPO法人日本アトピー協会の発表では、日本には600万人の
アトピー患者がいるそうで、20人に1人がアトピー患者ということです。
それにしては、あまりにその実情みたいなところが認識されていないのは
何故なのかと思ってしまいます。
アトピー性皮膚炎は根治治療法が確立されていない病気で、
主にステロイド外用薬を使った治療が有名ですが、そのステロイド自体も
アトピーの症状に応じて強さが違うものがあります。
昭和37年に初めて認可されてから、続々と「強い」ステロイドが開発されますが、
その副作用が問題となり昭和51年に劇薬指定されました。
ステロイドはその症状に合させた強さのものを、使うタイミングや容量を
きちんと守って使う事が重要ですが、野村千代さんが大学生の時に
重度になってしまったのは、まさにこのステロイドの使い方が起こした症状でした。
かゆみの症状を抑えたい一心で、一度使う量やタイミングを変えてしまうと、
どんどんエスカレートしてしまい、気が付けば強いステロイドを使っても
症状を抑えきれなくなります。
野村さんの場合は、このタイミングで「ステロイドはやめたほうがいい」
という噂を聞いて、やめた途端一気に悪化したという事です。
その時は、ご両親の看病と食事を無添加で野菜中心にし、
7・8か月経った時には症状は落ち着きその後3か月ほどで起き上がれるまで回復、
精神状態も安定したところで復学し無事卒業出来ました。
アトピー性皮膚炎の怖いところは、患者さんがこの薬に依存する事なんです。
その結果、野村さんの様な事になってしまうのが一番怖い事だと思います。
アンティクル(untickle)を立ち上げる。一人一人に合った情報のために。
野村さんは社会人になってからも重度の症状は何度か発症したため、
退社を余儀なくされます。
そして、個人事業主としてスタートするも26歳の時、
4度目の大きな症状が訪れその時「もう逃げられない。アトピーと向き合おう!」
と決めたと言います。
そして2013年、アトピーの当事者が集まるSNS「untickliアンティクル」の
運営を始めます。
その背景には、インターネットで調べても、ステロイドは問題ないとする医師もいれば、
ステロイドはやめるべきだ!とする当事者がいる。
そんな、見る人が混乱してしまう様な情報が多く、例えば頭皮に炎症が出ていても
使えるシャンプーは無いか?と検索するもなかなか欲しい情報が手に入らない。
Q&Aサイトでも、的外れな答えしか返ってこない。
やっと見つけた情報も、軽度の人向けの情報で、自分には当てはまらない。
こうした問題を解決するために立ち上げたのが「アンティクル」です。
あくまでもプラットフォームとして情報整理をし、登録ユーザー達からの情報も
体の部位別、症状別に検索できる仕組みです。
現在は会員数も9000人に上り、当事者同士が連携して助け合える場所として
立派に機能し、野村さん自身も沢山助けられているという事です。
これは従来にないサービスとして国内外から評価され、野村さんは
2016年アジアで30歳以下の優れた人物を表彰する「30 Under 30 2016 Asia」
に選出されています。
野村さんの目指しているのは、アトピーの「ムズムズをワクワクに」変える
事だそうです。
一人一人に合わせた情報を伝える事で、生活をワクワクするものにしていって
欲しいという願いを込めて。
外見に対するコンプレックスや周囲へのうらやましさも、アンティクルを始めた事で
辛いのは自分だけじゃないという気持ちが強くなり、「一緒に戦ってくれる仲間がいる」
という安心感と自信になっていると話すその笑顔は、本当に「素敵な笑顔」です。